日本におけるヴィラ=ロボス研究の先駆者、村方千之氏の文章を公開

2022.7.9【レポート】「バッハ、ブラジルへ行く」神戸市室内管弦楽団第154回定期演奏会

🎼「バッハ、ブラジルへ行く」を聴いて
神戸市室内管弦楽団第154回定期演奏会
(2022.7.9)

市村由布子
YUKO ICHIMURA

演奏会情報

♪神戸市室内管弦楽団第154回定期演奏会「バッハ、ブラジルへ行く」(2022.7.9 神戸文化ホール)の公演を楽理科の同級生の大田美佐子さん(神戸大学大学院 人間発達環境学研究科准教授)と一緒に聴きに行きました。美佐子さんの大学のゼミ(7/4)にオンラインで参加し、この公演で取り上げられた3つの作品を中心に、『H.Villa-Lobos~BACH&CHORO』というタイトルでお話する機会もいただきました。

神戸市営地下鉄西神・山手線の大倉山駅の改札を出ると、駅構内の壁面に、この演奏会のポスターが掲示されていました。まだそこまで一般的ではないヴィラ=ロボスの作品がメインの演奏会にもかかわらず、ホールにはお客様がいっぱいだったことが嬉しくて、興奮気味だった私…。

長年のヴィラ=ロボス・ファンでありながら、《クァルテット・シンボリコ》を生演奏で聴くのは初めて。CDで聴くのと違って、ハープの音がよく聴こえました。4つの楽器<フルート、サックス、チェレスタ、ハープ>という組み合わせのこの作品が誕生してから約100年経った今も、新しい響きに感じられました。女声合唱に歌詞はなくハミングで歌われ、神戸市混声合唱団から選ばれたメンバー(8名)が夢幻の世界を演出してくれました。ブラジルのイメージカラーである緑色のドレス…、その演出もまた素敵でした。

演奏が始まる前に、この公演の聴きどころについて、専門的な内容から面白いエピソードに至るまで、テンポよく解説してくださった指揮者の原田慶太楼さん♪ 原田さんが指揮する《ブラジル風バッハ第4番》は、私が今まで聴いたことがないようなドラマチックな演奏で、とても新鮮でした。サックス奏者の田中靖人さん(東京佼成ウィンドオーケストラのコンサートマスター)は、サックス奏者だった指揮者の原田さんとの息もぴったりで、ヴィラ=ロボスが好んで使用したサックスの魅力を最大限に披露してくれました🎷

小室敬幸さん(音楽ライター)が書いてくださったプログラムノートが素晴らしくて、何度も読みました。限られた紙面の中にヴィラ=ロボスの魅力がコンパクトにまとめられ、ヴィラ=ロボスへの深い愛も感じられました。

「バッハ、ブラジルへ行く Bach Across the Sea」という、“これから新しいドラマが始まることを予感させるような意味深なタイトル”を考えてくださった森岡めぐみさん(神戸市民文化振興財団の演奏担当部長)を美佐子さんが紹介してくれました。素晴らしい演奏会でした。ありがとうございました。今後もまた、びっくりするような企画が待っているそうです。神戸市管弦楽団の定期演奏会…これからも楽しみです!!

市村由布子
YUKO ICHIMURA