日本におけるヴィラ=ロボス研究の先駆者、村方千之氏の文章を公開

村方千之氏からの手紙㉘(2003.9.6)

村方千之氏からの手紙㉘(2003.9.6)

村方千之氏がプログラムノートに執筆した文章を抜粋し、「村方千之氏からの手紙」というシリーズでご紹介しております。

ヴィラ=ロボス・ナザレ・ミニョーネ
~ブラジルの神秘と郷愁と情熱~
2003[平成15]年9月6日
自由学園明日館講堂
主催:日本ヴィラ=ロボス協会


チラシ(表)を拡大する

チラシ(裏)を拡大する


「ブラジルの神秘と郷愁と情熱」
コンサートのご案内

このコンサートはブラジルを代表する三人の作曲家、ヴィラ=ロボス、E.ナザレ、F.ミニョーネの作品の中から親しみやすい作品を選び紹介するコンサートです。ブラジルの作曲家達の音楽は情熱的であるとともに素朴な郷愁と、ときに神秘的であるのが大きな魅力です。

ヴィラ=ロボスの作品からは、民謡の主題を美しいチェロとピアノのための組曲にした≪小組曲≫、口笛の激しい躍動感をフルートとチェロの二重奏に表した≪ジェット・ホイッスル≫の2曲と、ヴィラ=ロボスを代表する最も主要な作品群である17曲の≪弦楽四重奏曲≫から≪第1番≫を、N響メンバーのチェリスト西山健一さんを中心に編成した若い意欲的な弦楽四重奏団が演奏します。最後に子供達の楽しいフェスタ(お祭り)を描いたピアノ連弾曲の≪子供たちのフォリャ≫で締め括ります。

E.ナザレの作品からは、ブラジルのピアノ音楽の研究のために現在リオ・デ・ジャネイロに在住しているピアニストの清水由香さんが帰国、得意のナザレのピアノ作品を披露します。ナザレのピアノ楽譜は既にカワイや全音、ドレミ楽譜などから出版されており、興味を持たれた方も多いことと思います。殆どがワルツ、タンゴ、ポルカで書かれブラジル的情緒を描いた、親しみやすい、すぐに弾いてみたくなるような曲ばかりです。ただ、弾きこなすのが案外に難しいためかコンサートや発表会のプログラムにあまり載らないのはちょっと残念な気がします。今回は彼女のピアノ独奏で本場のナザレの魅力が十分に発揮されることが期待されます。

最後はF.ミニョーネのピアノ連弾曲から≪舞曲≫を2曲、それに現在活躍中の作曲家D.ミランダの≪タンゴ≫を追加披露し、情熱的なブラジル音楽を充分に楽しんでいただきたいと思います。

音楽、ブラジルのことなどの私のプレ・トークを交えながら、夏休み明けの休日の午後をゆったりと素敵な音楽でお過ごしいただきたく、お友達、お知り合いをお誘い合わせになり、ぜひご来聴下さい。お待ちしております。

日本ヴィラ=ロボス協会々長、指揮者
村方 千之


※作品解説は市村由布子が執筆


編集:市村由布子
Editora: YUKO ICHIMURA