日本におけるヴィラ=ロボス研究の先駆者、村方千之氏の文章を公開

村方千之氏からの手紙㉙(2006.7.23)

村方千之氏からの手紙㉙(2006.7.23)

村方千之氏がプログラムノートに執筆した文章を抜粋し、「村方千之氏からの手紙」というシリーズでご紹介しております。

ファーストアルバム CD制作記念ピアノリサイタル
~エルネスト・ナザレ~リオの風にのせて~
清水由香(ピアニスト

~ブラジルが生んだ作曲家たち~
ナザレ・ヴィラ=ロボス・ミニョーネ・クリーゲル

2006[平成18]年7月23日 自由学園明日館講堂
主催:アトリエmasa
後援:日本ヴィラ=ロボス協会、ブラジル大使館
協賛:(株)あいぶらす、東京山喜株式会社、(株)きもの濱田屋


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【プログラムノートから】

ブラジルの大地のように、臆することなく未来に向かって進め。

 清水由香さんが久々に帰国リサイタルを開くというので大変楽しみである。
ブラジルの音楽が好きだ!と言って国立音大の半ばでブラジルに留学し今年で8年目となる。早いものである。

ブラジルは確かに住みやすく魅力的な世界だ。若い人達がこの国に魅力を感じるのは実によく分かる。ほどほどに……まあまあ(mais ou menos)と言う意味の言葉がよく使われる。つまりカリカリ、キリキリした雰囲気ではなく、この言葉のように全てが大まかな流れのなかで動いている世界なのである。
国土は日本の23倍、南米大陸の5分の3を占め、赤道直下を流れる大河アマゾンを北に、その南にはアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイと国境を接する豊かで広大な大地が広まる羨ましい国である。

今から500年余りの昔、ブラジルはポルトガルの探検家によって発見され。ポルトガルの領土として発展し、その後紆余曲折して1822年に共和国として独立し、さらに発展し現在に至っている。南半球に位置し地球上では日本の真反対にあり、今から約100年前に日本から多くの人達が移民としてブラジルに渡り、この国の発展に大いに貢献したことはよく知られている。

この国はある時期ゴムの採取、金の発掘が盛んに行われた時期に大量の労働力を必要として、海を隔てたアフリカから黒人奴隷を大量に運んできたばかりではなく、世界中から移民を募った時期があり、ポルトガル人を中心に白色人種、黄色人種、黒色人種の子孫が長い間に入り混じって発展してきたのがブラジルである。
まさに、無限に可能性を内蔵するブラジルに自分の生きる道を見出して邁進している由香さんに、心からの声援を贈りたい。音楽家として貴方らしさを失うことなく前向きに成長されることを祈っている。

日本ヴィラ=ロボス協会会長
村方 千之


※作品解説は市村由布子が執筆


編集:市村由布子
Editora: YUKO ICHIMURA