日本におけるヴィラ=ロボス研究の先駆者、村方千之氏の文章を公開

2023.11.16【レポート】清水由香&クララ・スヴェルナーリサイタル

🎶第61回 ヴィラ=ロボス・フェスティヴァル
「清水由香&クララ・スヴェルナー リサイタル」を聴いて
(2023.11.16)

61゜FESTIVAL VILLA-LOBOS
SEMINÁRIO MÚSICA E MUSEU SINTONIA
RECITAIS YUKA SHIMIZU & CLARA SVERNER
Museu Villa-Lobos 16 de novembro 18h

コンサート情報
mvim.museuのサイトから


リオ在住のピアニスト、清水由香さんとその師匠であるクララ・スヴェルナー先生との演奏会が、11月16日(ヴィラ=ロボスの命日の前日)にMuseu Villa-Lobos Festivalのイベントとして開催されました。

1996年9月、日本ヴィラ=ロボス協会を創設した故・村方千之氏がクララ・スヴェルナー先生(ピアニスト)を日本にお招きしました。その公演を聴きに来ていた由香さんはクララ先生の演奏に一目👁惚れ(音楽なので一耳👂惚れ?)、ブラジルに行くことを決めました。1997年11月、リオに到着した翌日、由香さんはVilla-Lobos Fetivalに初めて参加し、ヴィラ=ロボスの《ショーロス》1番から10番での公演を聴いたそうです(私も聴いてみたかった!)。そしてリオに来て26年経った今、Museu Villa-Lobos Festivalのイベントの中で初めて演奏できる喜びを、村方先生やクララ先生への感謝の気持ちも込めながら語ってくれました。

ここ数日のリオは異常気象らしく、この日の日中の気温は36度で夜になっても涼しくならず、冷房のない館内は窓を開放したままでした。高温多湿にも負けず、由香さんの熱い演奏が始まりました。

由香さんがブラジルに渡るきっかけともなったナザレの《オデオン》は、皆さんにぜひ聴いていただきたい名演中の名演でした。ナザレを敬愛したヴィラ=ロボスの作品が続きます(ナザレもヴィラ=ロボスを敬愛していたそうなので相思相愛、ナザレが年上)。私が一番大好きな《ショーロス第5番“ブラジルの魂”》をこの場所で聴くことができて胸がいっぱいになりました。

クララ・スヴェルナー先生が後半に登場し、師弟での記念すべき連弾が始まりました。CDでは何度もクララ先生の演奏を聴いていましたが、生演奏を聴くのは私自身初めてでした。ピアノの音があまりにも美しく(特にピアニッシモがppp)、なぜ由香さんが先生の演奏に心を奪われたのを理解できました。当然のことなのかもしれませんが、師弟の息はぴったりで、由香さんも「安心して演奏できた」そうです。スタッカートの切れが良く、リズムが安定していて、響くべき音を美しく効かせる奏法など、(うまく表現できませんが)師匠から弟子へと音楽にとって大切なものがきちんと受け継がれていると会場のみなさんもそのように感じたのではないでしょうか。お二人の名演を天国にいるヴィラ=ロボスも、村方先生もきっと喜んでくれたことでしょう。


♪Yuka Shimizu
Nazareth: Odeon, Improviso
Villa-Lobos: Choros no.5, Ondulando, Impressões seresteiras

♪Clara Sverner &Yuka Shimizu
Ravel: Ma Mère l’Oye

♪Clara Sverner
Debussy: Clair de Lune
Villa-Lobos: “O Policinelo” A Prole do Bebê no.1

♪Clara Sverner &Yuka Shimizu
Henrique Alves de Mesquita “Batuque”


清水由香さんのYoutube Channelはこちら👇
♪Clara Sverner &Yuka Shimizu
Ravel: Ma Mère l’Oye

Museu Villa-LobosのInstagram

クララ・スヴェルナーのCD

💽Heitor Villa-Lobos por Clara Sverner:Guia Prático Integral para Piano

市村由布子
YUKO ICHIMURA