日本におけるヴィラ=ロボス研究の先駆者、村方千之氏の文章を公開

村方千之氏からの手紙㉚(2007.7.22)

村方千之氏からの手紙㉚(2007.7.22)

村方千之氏がプログラムノートに執筆した文章を抜粋し、「村方千之氏からの手紙」というシリーズでご紹介しております。

ヴィラ=ロボス生誕120年記念コンサート
ピアノ・室内楽・弦楽オーケストラの世界
2007[平成19]年7月22日
自由学園明日館講堂
主催:日本ヴィラ=ロボス協会


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【チラシから】

ヴィラ=ロボスは19世紀末に生まれ、20世紀前半に活躍したブラジルの生んだ偉大な世界的作曲家である。その超人的なバイタリティーと、情熱溢れる創作欲から生み出した作品は凡そ2000曲、オペラ、交響曲、宗教曲、室内楽、声楽曲、合唱曲、器楽曲、ギター曲等の小品まで、音楽のあらゆる分野にわたっている。

彼は殆ど独学で作曲を学び、敬愛するバッハの作品に学び、土着の音楽にも目を向けて全く独自の新鮮なインスピレーションを駆使して作曲した。したがって、その作品にはブラジルの大地に根差す野趣な躍動感と、さらに人間愛、郷愁、ロマンと言った人間の本質的な心を、その作品を通して自然に伝えている。今年、2007年はヴィラ=ロボス生誕120年目の年にあたり、日本ヴィラ=ロボス協会ではそれを記念したコンサートを表記の様に開催する。

普段あまり聴く機会の少ない二重奏曲3曲をはじめ、弦楽四重奏曲、ファゴット独奏と弦楽オーケストラの曲と、弦楽オーケストラの小品をコンサートの前半に、後半にはピアノの独奏でヴィラ=ロボスの作品と、他に日本では初めて演奏される、ブラジルの同時代に活躍していたR.ニャッタリの作品が紹介される。ピアニストの光永浩一郎氏は作曲家でもあり、日本では余り紹介される機会の少なかったブラジルをはじめ、南米のユニークな作曲家たちに目を向け活動している。日本ヴィラ=ロボス協会ではヴィラ=ロボスばかりではなく、まだまだ知られていない多くの南米の作曲家にも、広く目を向けて活動していきたいと思っている。

村方 千之
(日本ヴィラ=ロボス協会々長)


【プログラムノート】

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著名な歴史学者で、熱心なアマチュア音楽家でもあった父のラウールは、6才のエイトールにギターを改造した小型のチェロを与え熱心に教えた。その後、彼は音楽的才能をめきめきと伸ばし、次々と目の前の楽器をマスターしていった。それが、後に≪ブラジル風バッハ第1番≫などのチェロの名曲を生み出す元となったのだろう。

ヴィラ=ロボスは19世紀末の1887年にリオに生まれ、20世紀半ばまで活躍し1959年に同地で没した。このブラジルの生んだ偉大な世界的作曲家は、その超人的なバイタリティーと、情熱溢れる創作欲からおよそ2000曲の作品を世に送った。それはオペラ、交響曲、宗教曲、室内楽、声楽曲、合唱曲、器楽曲、ギター曲等の小品まで音楽のあらゆる分野にわたっている。その作品にはブラジルの大地に根差す野趣な躍動感と、さらに人間味豊かな雄大なロマンが描かれ、聴くものの心に魅了し共感を与える。

生誕120年目の年にあたる今年、日本ヴィラ=ロボス協会ではそれを記念してこのコンサートを開催する。また今回は、日本ではあまり知られていないブラジルで同時代に活躍したR.ニャッタリの作品も紹介される。

日本ヴィラ=ロボス協会会長
村方 千之


作品解説の第1部は市村由布子が執筆

第2部は光永浩一郎氏が執筆


編集:市村由布子
Editora: YUKO ICHIMURA